実話怪談 5
山のドライブ
専門学校生の頃
当時私は心霊にはまっていて、コンビニでよく売られていた「大阪心霊現場」のような本を読んで、実際に行ってみたりしていた。
その中で、「人面電柱」なるものが和泉市にあったと記憶している。
別に市の名前が重要な訳ではなく、その「人面電柱」を見に行った帰りの出来事だ。
私は当時の彼女を連れて人面電柱を見に行ったのはいいが、そんなに怖い事もなく、むしろどれだか分からないので帰ろうとしていた。
時刻は夕方を少し回った時間で、暗かったのを覚えている。
人面電柱は山の上にあり、帰ろうと山道を降りていく途中だった。
山の斜面は50㎝四方の中央が少し窪んだブロックのようなものでがけ崩れを防止しており、行きは運転席側が山の斜面で、帰りは助手席側だった。
山も中腹ほどまで下ってきた時、ふと視線のようなものを感じ、助手席側を少し見ると、彼女は私のほうを見ていなかったので、視線は気のせいだと感じ、前を向こうとしたその時だった。
山も斜面に敷き詰められているブロックから顔が出てきた。
それも一つ二つでは無い。
全てのブロックからそれぞれ違う顔がこちらに向き、顔を近づけてきていた。
その顔はよくは分からないのだが、苦悶の表情をしているような感じがした。
見てはいけない物を見てしまったと思ったが、何よりも彼女を怖がらせまいと思い、冷静を装い麓のコンビニまで戻ってきた。
そこで、今起こった事を彼女に言うと、驚きはしていたが、視線のようなものは感じなかったと言っていた。
あれから月日が経ち、その場所が心霊スポットだったとかの噂は聞かないので、今では私の見間違いだったのではと思っている。
この時期を境に不思議なものを感じることが多くなっていったのは事実である。