てつやのブログ

臨床検査技師と怪談、時々過払金 怪談会ではsakainotetsuyaと名乗っています。

実話怪談 2

顔。

 

中学生の頃だった。

私は当時仲の良かった陽介の家に遊びに行った。

気候が良かったのを覚えている。

彼の家は、二階建ての一軒家で、玄関に入ると右側にリビングに入れるドア、正面に階段があり、二階へと続いていた。

私が彼の家に着き、玄関の扉をカラカラと開けて、リビングのドアに向かって

「陽介君、あそぼ」

と彼を呼んだ。

中から

「ちょっと待って」

と聞こえてきたので、彼の家の犬、ハスキー(雑種)と遊んでいた。

結構時間が経ったので、玄関に入り

「まだか?」

と聞いたら

「ごめん、あがってきて」

と言われたので

「お邪魔します」

とリビングの扉を開けた。

扉を開けると、トイレに続くドア、お酒が並んでいるガラス扉のローボード、テレビの順に目に入ってきた。

彼は私に飲み物を渡し、遅くなってごめんと言った。

家に人はと聞くと、両親は自営業で二人で働いているらしかった。

「ほな、行こうか」

と彼に言われ、リビングから出るときだった。

ノブをひねり、扉を開け、体はリビングから出た。後ろを振り返り、ノブをつかみ、こちら側に扉を引っ張ったその時、お酒が並んでたはずのガラス扉のローボードの中に、真っ赤な赤鬼のような顔がこちらを向いてあった。

私は驚いて体が少し跳ねたのを覚えている。

記憶にあるのはここまでなのだが、今必死にどんな顔だったか思い出そうとしても、ぼんやりと顔のパーツがあったなと思うぐらいで、はっきりとは分からないでいる。